アメリカやチリ産を中心に、年間を通して安定した供給がされている輸入ぶどうは手ごろな価格で手に入りやすい一方、「国産に比べて農薬が多いのでは?」「輸入ぶどうは危険性があるのでは?」と不安を感じる方も少なくありません。残留農薬やポストハーベスト農薬を日頃から避けている方にとっては、安心できるぶどうを食べたいですよね。
本記事では、「輸入ぶどうの危険性」をテーマに、
- 実際に指摘される危険性の内容
- 輸入ぶどうと国内産ぶどうの違い
- 輸入ぶどうの危険性を減らすための対策
- おすすめの農薬不使用のぶどう
について整理し、安心してぶどうを選びたい方に必要な情報をお届けします。
日本の輸入ぶどう検査体制と安全基準

結論から言うと、検疫でのチェックで輸入ぶどうは残留農薬などの違反実績が確認できませんでした。
厚生労働省による残留農薬検査の仕組み

日本では、食品衛生法に基づき、輸入される食品に対して残留農薬や添加物の検査が行われています。代表的なのがモニタリング検査で、輸入される食品の一部ロットを抽出して調べる方式です。
過去10年間で輸入ぶどうは検査違反の実績がないため、輸入ぶどうは日本の残留基準値内で安全といえます。
ぶどうは検査命令の対象になっていない

検疫でのチェックで違反が繰り返される食品は、検査命令が発動されます。これは輸入ごとに全ロットを検査する厳しい措置で、輸入者は費用を自己負担し、検査結果が出るまで販売できません。事実上、輸入業者にとって最も厳しい検査制度といえます。
厚生労働省の輸入食品監視業務における公開資料によると、輸入ぶどうはこれまで検査命令の対象となった事例は確認できませんでした。これは、ぶどうに関して残留農薬などの違反事例が少なく、リスクが低いと判断されているということになります。
つまり、通常のモニタリング検査(サンプリング調査)で安全性が確認されているため、全ロットの検査がされているわけではないというのが輸入ぶどうの現状です。
ぶどうについてはこれまで検査命令対象になっていない点が、相対的に輸入ぶどうは安全性が高いと考えられる根拠の一つとなります。
なぜ輸入ぶどうは危険と言われるの?

ズバリ、カビを抑えるため収穫後のポストハーベスト処理がされているからです。
日本では 収穫後に農薬(防カビ剤など)を散布・処理する「ポストハーベスト農薬」使用は法律で禁止 されています。
輸入品と国産品の大きな違いを見ていきましょう。
防カビのため二酸化硫黄(SO₂)が使用される

公益財団法人 中央果実協会の資料によると、アメリカ・チリなど主要産地ではコンテナなどの密閉空間での燻蒸(気体にした薬剤を充満させること)やSO₂を含むシートを用いた処理が実際に輸入用ぶどうで行われています。
輸入の柑橘類と比較した違い:輸入のオレンジやレモンに使用されるイマザリルなどの防カビ剤は皮の表面に散布しますが、ぶどうは主に燻蒸やシートによる防カビ処理が中心です。
輸入かんきつ類に使用されるイマザリル等の農薬は発がん性が指摘されるため、直接塗布しないだけ輸入ぶどうは安全と考えることもできます。
その一方で、国産ぶどうには収穫後のポストハーベスト処理は法律で禁止されているため、二酸化硫黄による燻蒸は絶対に行われません。この点が輸入ぶどうと国産ぶどうの大きな違いです。
残留農薬のリスク

果実酒やレーズンなどに使用される二酸化硫黄(SO₂)の残留基準値は日本で設定されていますが、日本国内では収穫後のポストハーベストが禁止されているため、ぶどうそのものに使用される二酸化硫黄(SO₂)の残留基準が設定されていないのが現状です。
日本に輸入されたドライぶどうに関しては、基準値を上回る二酸化硫黄の残留が検出された違反もあり、全量廃棄などの処置がなされています。(厚生労働省:輸入食品等の食品衛生法違反事例)
二酸化硫黄(SO₂)は食品中で亜硫酸塩として存在し、一部の人にアレルギー反応を引き起こす可能性があると指摘されています。
オーストラリア・ニュージーランド臨床免疫アレルギー協会(ASCIA:亜硫酸塩過敏症)
喘息やアレルギーのある方、小さな子ども、妊婦の方など注意が必要な方は、知らずに食べないように気をつけましょう。
より安心を求めたいなら有機JASや無農薬の国産ぶどうを選ぶのが安心です。
輸入ぶどうの危険性を減らす5つの対策

安価で手に入る輸入ぶどうは、食べる前にひと手間加えることでリスクを減らすことができます。
- 流水でよく洗う
流水で30秒以上洗うだけで、農薬や防カビ剤の多くを落とすことができるといわれています。 - 皮をむいて食べる
農薬が付着しやすいのは果皮のため、皮をむけばリスクを減らせます。 - 重曹や専用洗剤を使う
重曹水で洗う、また「野菜・果物専用洗剤」も市販されており、農薬を効率的に除去できます。 - オーガニック表示を確認する
「有機JAS」などのオーガニック認証があるものを選べば安心度が高まります。 - 信頼できる販売店を利用する
自然食品店やオーガニック専門店など、仕入れにこだわる販売店を選ぶのも有効です。
農薬不使用ぶどうはどこで買える?

日本に流通している輸入ぶどうは残留基準値を満たしていて、基本的には安全です。
ただし、すべてのロットが検査されているわけではないこと、輸入時のカビを防ぐためにポストハーベストがされていることから、より安心を求める場合は有機や国産ぶどうを選ぶのがおすすめです。
- 輸入ぶどうとの違い:化学農薬や化学肥料を原則使わず栽培
- 購入先:一部のスーパーや通販サイト、自然食品店で購入可能
おすすめの国産ぶどう
ぶどうだけではなく果物全般に言えることですが、農薬不使用で果物を生産するのは難易度が高いため、生産者も限られてきます。
当サイトでは、生産者の方から直接購入できる「食べチョク」で無農薬ぶどうを販売している農家さんをご紹介します。
1.アミットの「ジュエルマスカット」「ブラックフィンガー」

自然の恵みを活かして農薬の使用を極限まで減らした果物栽培を実践されている果樹農家であるアミットさん。
自作のコガネムシ・トラップや、天然成分を使用した木酢液をぶどうの葉一枚一枚に噴霧して防虫を行うなど、手間がかかりますが安心な果実を生産するために、殺虫剤は一切使用していません。
茨城大学農学部との共同研究で有機的な農法を実践、また収穫した果物の鮮度保持期間を伸ばす鮮度保持技術の向上に取り組むなど、農薬不使用で美味しいぶどうを生産するために先進的な設備を取り入れています。
看板商品の「ジュエルマスカット」は、しっかりとした粒の大きさと甘みが特徴。シャインマスカットのようなパリッとした皮の美味しさも楽しめるフレッシュなぶどうです。

上品な甘さで香りがいい黒ぶどうブラックフィンガーもおすすめですよ。

果物好きの子どももパクパク食いつきがよくて、子どもとの特別なおやつタイムにもなります。家族でのデザートや大切な人へのギフトにも喜ばれること間違いなしの、農薬不使用の安心して食べられるぶどうです。
農薬不使用の安心できる果物を選びたい
アグリ杉山の「農薬不使用シャインマスカット」

静岡県で無農薬栽培にこだわっているアグリ杉山さん。農薬なしでは栽培がと難しいと言われるぶどうを、農薬、ホルモン剤、除草剤不使用で生産されています。
手間ひまがかかるためどうしても割高ではありますが、農薬不使用で収穫されたぶどうは生命力の強いぶどうです。
一般的なシャインマスカットとは違い、ホルモン剤不使用のためシャインマスカットにも種があるのが特徴。安全性と味わいの両立が実現された美味しい無農薬ぶどうを探している方にはおすすめです。
種抜き処理がされていない自然なぶどうが食べたい
3.亀の甲農園の「無選別粒ぶどう」

岡山県の亀の甲農園さんは、自然の恵みを大切にした昔ながらの農法にこだわり、田んぼに散布する農薬の暴露によって父を亡くされたご経験から、農薬不使用のぶどう栽培を半世紀以上研究し、商品化に成功しました。
看板商品である 「無選別粒ぶどう」 は、形や大きさを理由に規格外とされがちな粒もそのまま詰め合わせたもの。
見た目は大小さまざまですが、自然に育った証。農薬をできるだけ使わずに育てられたぶどうを粒ごとに味わえるので、見た目にとらわれずに気軽に、無農薬ぶどうが楽しめます。
「フードロスを減らしつつ、無農薬ぶどうを食べたいという方にはぴったりです。
形より中身!安全性の高いぶどうを選びたい
まとめ

日本に流通している輸入ぶどうは基準を満たしており基本的には安全です。
国産ぶどうでも栽培時に農薬は使用されますが、輸入品に実施されている収穫後のポストハーベスト農薬は法律で禁止されています。そのため「国産のほうが安心」と考える人が多いのが現状です。
より安心を求める場合は農薬不使用のぶどうや国内産ぶどうを選びましょう。
👉 おすすめの農薬不使用のぶどうは、
- 「農薬(ジベレリン)不使用」のアミット ジュエルマスカット
- 「自然のまま!ホルモン剤も不使用」のアグリ杉山 シャインマスカット
- 「有機JAS認証つき」の亀の甲農園 無選別粒ぶどう
いずれも農家直送で、安心なこだわりぶどうです。健康志向の方や小さなお子さまがいるご家庭におすすめですよ。
輸入品に比べると割高にはなりますが、安心できるぶどうが食べたいという方は農薬不使用ぶどうをぜひチェックしてみてくださいね。